「外国人を雇うのは初めてなんですが…」この言葉から始まる相談を、私たちは何百回と受けてきました。気持ちはよくわかります。制度が複雑そう。費用がわからない。日本語が通じるか不安。失踪のニュースが怖い。何から始めればいいのかすらわからない。
全部、当然の不安です。しかし、ひとつだけ最初にお伝えしたいことがあります。
日本の人手不足は、これからさらに悪化します。少子高齢化は止まりません。そして、海外の人材が「日本で働きたい」と思ってくれる時代がいつまでも続くとは限りません。インドネシアもベトナムもフィリピンも、経済成長を続けています。自国の給与水準が上がれば、あるいは韓国やオーストラリアのほうが条件が良ければ、人材は日本ではなく他の国を選びます。
だからこそ、1日でも早く動いたほうがいい。
「でも、失敗したらどうしよう」──正直に言えば、初めての外国人材の採用で100%うまくいくことは稀です。しかし、早いうちに失敗しておいたほうが遥かにいいのです。本当に人が足りなくなってから慌てて外国人材を入れても、既存の社員に余裕がなければ新しく来た人材を育てる時間も体力もありません。余裕があるうちに始めて、試行錯誤しながらノウハウを蓄積する──これが外国人材の採用における最良の戦略です。
まず知るべき「3つの制度」
外国人材を日本に受け入れる制度は複数ありますが、多くの企業に関係するのは以下の3つです。
技能実習制度
- 最長5年(3年+延長2年)
- 監理団体を通じて受入れ
- ゼロから育てたい企業向け
- 2027年に育成就労へ移行予定
特定技能制度
- 最長5年(1号)
- 日本語・技能要件あり
- 即戦力が欲しい企業向け
- 同分野内の転職が可能
育成就労制度
- 最長3年(特定技能1号へ移行)
- 技能実習の後継制度
- 転籍の条件が緩和
- 手数料上限など透明化
1. 技能実習制度
日本で技能を学んで母国に持ち帰ることを目的とした制度です。1993年に始まり、30年以上の歴史があります。期間は最長5年。建設、製造、農業、食品加工など幅広い職種が対象です。受入企業は「監理団体」を通じて人材を受け入れます。
技能実習制度は2027年から「育成就労制度」に移行する予定です。ただし、現在も技能実習での受入れは可能であり、移行期間中は両制度が並行します。「2027年まで待つ」よりも今動くほうが、ノウハウ蓄積の面で有利です。
2. 特定技能制度
2019年に創設された、人手不足の分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。特定技能1号は最長5年。介護、建設、外食、宿泊、農業など16分野(2026年時点)が対象です。一定の技能と日本語能力(JFT A2またはJLPT N4以上)が求められます。
受入企業が直接雇用するのが基本で、「登録支援機関」が生活支援などをサポートします。監理団体は不要ですが、送出し機関との連携は必要です。
3. 育成就労制度(2027年4月開始予定)
技能実習制度の後継として創設される新制度です。最大3年間の育成期間を経て、特定技能1号への移行を目指す設計です。技能実習制度で問題になっていた「転職の自由がない」という点が改善され、一定の条件のもとで転職が認められます。
「技能実習」と「特定技能」、どっちがいいの?
初めての企業から最もよく聞かれる質問です。簡単に整理します。
| 比較項目 | 技能実習 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 対象者 | 日本語・技能の経験がなくてもOK | N4以上の日本語力・技能要件あり |
| 採用までの期間 | 約6〜12か月 | 約3〜6か月(比較的早い) |
| 転職 | 基本的に不可 | 同分野内は可 |
| 在留期間 | 最長5年 | 最長5年(1号) |
| 監理団体 | 必要 | 不要(登録支援機関を活用) |
| こんな企業向け | ゼロから育てたい/長期定着重視 | 即戦力がほしい/スピード重視 |
正直に言えば、「どちらがいいか」は企業の状況によって違います。業種、人数、時期、予算、教育体制──これらの条件によって最適な制度は変わります。だからこそ、最初の段階で信頼できる送出し機関や監理団体に相談することが重要です。
費用はどのくらいかかるのか
「外国人を雇うと高くつくのでは?」──これもよく聞く不安です。正直に言えば、初期費用はそれなりにかかります。しかし、日本人を採用する場合の求人広告費、面接コスト、教育コスト、そして「採用しても定着しない」リスクを考えると、単純に「高い」とは言い切れません。
受入企業が負担する主な費用
| 費用項目 | 技能実習 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 監理・支援費(月額) | 監理団体への監理費 | 登録支援機関への委託費 |
| 紹介手数料 | 送出し機関への紹介手数料 | 送出し機関への紹介手数料 |
| 入国関連費用 | 講習費・渡航費・在留資格申請 | 渡航費・在留資格申請 |
| 住居 | 寮の確保・準備費用 | 住居の確保・準備費用 |
具体的な金額は、国籍、職種、受入人数、地域などによって大きく変わるため、この記事で「○○万円です」と断言することは避けます。重要なのは、見積もりを複数の機関から取り、内訳を透明に説明してくれるパートナーを選ぶことです。
候補者が負担する費用にも目を向ける
受入企業が見落としがちなのが、候補者(来日する外国人本人)が負担している費用です。送出し機関によっては、候補者に過大な費用を請求しているケースがあります。候補者の負担が大きければ借金が膨らみ、借金が膨らめば失踪リスクが高まります。
受入企業として、「うちが払う費用」だけでなく、「候補者がいくら払っているのか」も送出し機関に確認してください。
採用までの流れ──相談から入国まで
初めての場合、相談から実際に人材が来るまで、約半年が目安です。特定技能のほうが比較的早く、技能実習はやや時間がかかります。
相談・制度の選択
送出し機関や監理団体に相談します。自社の業種、必要な人数、時期、予算を伝え、どの制度が最適かを一緒に検討します。
ポイント:この段階で複数の機関に相談することをお勧めします。対応のスピード、説明の透明さ、費用の妥当性を比較してください。
求人条件の確定
受入企業の業種、仕事内容、給与条件、住居、勤務地などを具体的に確定します。この情報が送出し機関を通じて候補者に伝わります。
候補者の選抜・面接
送出し機関が候補者を選抜し、面接を実施します。オンライン面接(Zoom等)が主流です。
ポイント:面接だけで候補者の本質を見抜くのは難しいです。送出し機関から候補者の性格や適性情報を提供してもらえるかが、良い送出し機関かどうかの判断基準になります。
在留資格の申請
面接で候補者が決まったら、出入国在留管理庁に在留資格の申請を行います。この手続きは監理団体や登録支援機関、行政書士がサポートします。審査には1〜3か月程度かかります。
入国前教育
候補者は入国までの間、送出し機関で日本語教育や生活指導を受けます。この教育の質が、入国後のパフォーマンスと定着率に直結します。
入国・就労開始
在留資格が下りたら、候補者が来日します。最初の数か月が最も重要です。言葉の壁、文化の違い、生活環境の変化──この時期のサポートが手厚いかどうかで、その後の3年間が決まります。
よくある不安と誤解──正直に答えます
「日本語が通じるのか不安です」
来日時点での日本語レベルは、制度と送出し機関によって異なります。技能実習生の場合N5〜N4程度、特定技能ではN4以上が要件です。正直に言えば、来日直後に完璧な日本語でコミュニケーションできる人材は少ないです。
しかし、日本で生活しながら急速に上達します。最初の3か月を乗り越えれば、多くの人が業務に必要な会話はできるようになります。ゆっくり話す、短い文で伝える、翻訳アプリを活用する──特別な設備は不要で、少しの配慮で大きく変わります。
「うちは小さい会社だから無理では?」
これは明確な誤解です。外国人材を受け入れている企業の多くは、従業員数十名規模の中小企業です。むしろ、大企業よりも中小企業のほうが外国人材との距離が近く、丁寧な関係を築ける利点があります。
必要なのは「大きい会社」であることではなく、住居の確保・業務の指導体制・困ったときの相談先が整っているかどうかです。
「外国人はすぐ辞めるんでしょ?」
技能実習生は制度上、基本的に転職ができません。特定技能は同分野内で転職が可能ですが、実際に転職する人はごく一部です。問題は「辞める」ことではなく「なぜ辞めるのか」です。待遇が悪い、コミュニケーションが取れない、パワハラがある──こうした原因があれば、日本人でも外国人でも辞めます。逆に、良い環境を作れば外国人材は非常に長く定着します。
「制度が複雑すぎてわからない」
その通りです。制度は複雑です。しかし、受入企業がすべてを理解する必要はありません。制度の詳細は監理団体、登録支援機関、送出し機関がサポートします。受入企業が理解すべきは「大まかな仕組み」と「自社が何をすべきか」であり、細かい法律や手続きはプロに任せて大丈夫です。
「失踪が怖い」
失踪は確かに起こりえます。しかし、その原因の多くは「制度の問題」「送出し機関の問題」「受入企業の環境」のいずれかです。適切な送出し機関を選び、候補者に過大な借金を負わせず、受入企業が良い環境を用意すれば、失踪リスクは大幅に下がります。私たちは900名以上を送り出して失踪者ゼロです。
「イスラム教の対応が大変そう」(インドネシア人材を検討中の方)
結論から言えば、過度な心配は不要です。インドネシアのイスラム教は中東とはまったく異なり、日本で働くインドネシア人の多くは柔軟に対応しています。礼拝を仕事中にしない人がほとんどですし、食事も自炊で対応できます。
「失敗してもいいから、早く始める」が最良の戦略
初めて外国人材を採用して、すべてがスムーズにいくわけがありません。当たり前です。日本と全く文化や人生背景が違う人、しかもコミュニケーションを取るための言語すら違う。当然のことです。
しかし、その壁は、早く経験すればするほど、早く乗り越えられます。本当に人が足りなくなってから慌てて入れても、既存社員に余裕がなければ育てられません。余裕があるうちに始めて、小さく失敗して、そこから学ぶ──これが最も確実な方法です。
でも、今は本当にいい時代です
「言葉が通じない」という不安は、5年前と今ではまったく状況が違います。今はみんなスマートフォンを持っています。無料で使えるAI翻訳アプリの精度は驚くほど高い。日本語で話しかければインドネシア語に、インドネシア語で返せば日本語に──リアルタイムで翻訳できます。深いコミュニケーションが、スマホ1台で取れる時代です。
しかも、私たちのような送出し機関を通じて来る人材は、日本語だけでなく日本のルールや文化を教育された人材です。何かあれば、いつでも担当した先生を交えてZoomで話すこともできます。非常に恵まれた環境がすでに整っている。あとは、受入企業が一歩を踏み出すだけです。
最初の3〜6か月を乗り越える覚悟だけ持ってください
最初の3か月から半年は、きつい時期があります。どんなに教育を受けてきた人材でも、来日直後は日本語も環境も慣れていません。指示が一発で伝わらないことがある。「自分でやったほうが早い」と感じる場面も出てきます。
イメージとしては、新しいことを覚え始めたばかりの社員に、ゼロから仕事を教える感覚です。言葉の壁がある分、日本人の新入社員よりも根気が必要です。しかし、この最初の数か月を乗り越えた先に、日本語でコミュニケーションが取れて、真面目に働き、数年間定着してくれる戦力が生まれます。
「日本が選ばれる国」でいられるうちに
インドネシアもベトナムもフィリピンも、経済成長を続けています。自国の給与水準が上がれば、わざわざ言葉の通じない日本に来る理由が薄れます。韓国やオーストラリアは日本の2〜3倍の給与を提示しています。「日本で働きたい」という人材が豊富にいる今のうちに動くことが、5年後・10年後の自社の人手不足対策になります。
まとめ:この記事を読んだ次にやること
この記事で全体像は掴めたはずです。次にやるべきことはシンプルです。
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